ゴミ山

しがない一次創作者の設定の吐き溜め。微エログロ含みます。特殊性別、奇形など。

2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧

語り継がれた英雄譚 10話

「……おれに、戦えって言うんですか」その場の者全員がレミィに視線を向ける。静まり返った部屋の中、ただ一つの亀裂が入った。「また…あの男に。魔王に。…そんなの、いやだ。魔王は、おれの、お父さんとお母さんを殺した…!あの日からずっと夢に見る!」突然…

語り継がれた英雄譚 9話

「よく来てくれました。さぁ、そこの椅子に腰掛けてください」 海の底を覗き込んだような、深く美しい紺碧のビロードを身にまとった男―宰相の1人、天秤宮のリブラがレミィたちに声をかける。円卓から少し離れて並べられた3つの椅子に、レミィを真ん中に、レ…

語り継がれた英雄譚 8話

「レミィちゃん。私が髪を梳いてあげるわ。こっちの椅子に座ってくれるかしら」アトリアはレミィを備え付けの椅子に座らせると、その寝癖のついた青い髪を優しく梳いた。一年前から1度も鋏を入れていない、無造作に伸びた髪。昔とは違うことばかりが目に入っ…

荒廃した世界の後日談 題目『終わりの始まり』

―やぁ、迷える子羊 僕の名前はスクリプター。あぁ、君は名乗らなくてもいい、僕には全て分かっている。 突然で驚いたかな?聞きたいこともあるかもしれない。ただ、僕から君に言えることは一つ。偶然か、それとも必然か。君はこの世界、「荒廃した世界」に…

語り継がれた英雄譚 7話

その日からというもの、レミィは部屋に引きこもるようになった。以前のように村の少年たちに混ざって遊びに行くこともなくなり、健康そのものであった小麦色の肌もみるみるうちに白くなっていった。食事の量もめっきり少なくなり、顔を合わせる度に痩せこけ…

語り継がれた英雄譚 6話

レミィは瞼を開けた。視界にいつもの木の天井ではない、白く汚れ一つない絢爛な模様の描かれた天井が広がる。あれ、と不自然に思ったレミィは、まだ寝ていたいと主張する身体を無理やり起こした。その瞬間、腹部に刺すような激しい痛みが電撃のように走った…

語り継がれた英雄譚 5話

腕の突き刺さった傷から血が流れ出てくる。テーブルクロスに入れたての紅茶を零したみたいに、レミィの真白のシャツに赤が染み込んでいき、やがて足元に赤い水溜りを作っていった。レミィは苦しそうな呻き声をあげ、痛みに耐えるように俯いた。息を吐き出そ…

語り継がれた英雄譚 4話

「………は」ばきり、骨の砕ける音がした。次の瞬間、今まさにレミィの頭を握り潰さんとした腕が鈍い音を立てて地に叩きつけられた。魔王は落ちた腕に目をやり、次にレミィを凝視した。そして目を細め、憎々しげに「…あぁ、お前か」と呟いた。静かに、それでい…

語り継がれた英雄譚 3話

冷たい風が頬を撫ぜる。胸を過ぎる不安に急かされるように、レミィとレイは少し駆け足で村の中を走り抜けた。誰も居ないのだろうか、子どもたちの笑い声も、女たちの噂話も、何も。鳥の鳴き声さえ聞こえない。その異様な状況に言い知れぬ恐怖を覚え、真っ先…